「お尻に痛いしこりができた」

「腫れているけれど粉瘤なの?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。

粉瘤(アテローム)はお尻にもできることがあり、皮膚の下にしこりとして触れるほか、炎症を起こすと赤く腫れたり、痛みや熱感が出たりすることがあります。

本記事では、お尻に粉瘤ができる原因や痛い・腫れている場合の対処法、治療方法、何科を受診すればよいのかについて詳しく解説します。

お尻に粉瘤ができるのはなぜ?原因を解説

粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に角質などがたまることで形成されます。外傷などをきっかけに生じるタイプもありますが、実際には「なぜこの場所にできたのか」という明確な原因を特定できないことも少なくありません。

摘出した粉瘤の袋

お尻は、長時間座ることによる圧迫や下着・衣類との摩擦など、日常的に刺激を受けやすい部位です。ただし、「座っている時間が長いから粉瘤ができる」「不潔だからできる」と単純に判断することはできません。

また、お尻にできるしこりがすべて粉瘤とは限らないため、痛みや腫れがある場合や、しこりが徐々に大きくなっている場合は医療機関で診断を受けましょう。

お尻の粉瘤の治し方・治療方法

お尻の粉瘤を根本的に治療する場合は、皮膚の下にある粉瘤の袋を含めて摘出する手術を検討します。

代表的な手術方法には「くり抜き法」と「切開法」がありますが、どちらが適しているかは粉瘤の大きさや位置、炎症の有無、周囲との癒着などによって異なります。

くり抜き法切開法
手術方法小さな穴を開け、内容物を排出して袋を摘出する皮膚を切開し、粉瘤の袋を摘出する
傷口比較的小さくできる場合がある粉瘤の状態に応じた切開が必要
縫合縫合しない場合もある縫合することが多い
向いているケース比較的小さく、状態が適している粉瘤など大きな粉瘤や癒着がある粉瘤など、幅広い状態で検討される
注意点状態によっては袋を摘出しにくく、適さない場合がある粉瘤の大きさなどによって傷跡が長くなる場合がある

くり抜き法

くり抜き法は、専用の器具などを使って粉瘤の部分に小さな穴を開け、内部の角質などを排出したあと、袋を摘出する方法です。

切開する範囲を比較的小さくできる場合があり、粉瘤の状態によっては縫合せずに治癒を待つこともあります。

ただし、すべてのお尻の粉瘤にくり抜き法が適しているわけではありません。粉瘤が大きい場合や、炎症を繰り返して周囲と強く癒着している場合などは、袋を十分に摘出することが難しく、別の方法が適していることがあります。

切開法

切開法は、粉瘤の状態に合わせて皮膚を切開し、内部にある袋を確認しながら摘出する方法です。

大きくなった粉瘤や、過去に炎症を繰り返して周囲と癒着している粉瘤などでも検討されます。

切開する範囲は粉瘤の大きさや状態によって異なり、摘出後は傷口を縫合することが一般的です。

「切開法だから必ず大きな傷跡になる」というわけではありませんが、手術を行う以上、傷跡は残ります。傷跡の目立ち方には粉瘤の大きさや炎症・癒着の程度、術後の経過なども関係します。

炎症・化膿している場合の治療

お尻の粉瘤が炎症を起こすと、赤く腫れたり、強い痛みや熱感が出たり、膿がたまったりすることがあります。

炎症や感染の状態によっては、抗菌薬を使用したり、膿がたまっている場合には切開して排膿したりすることがあります。

炎症が落ち着いてから粉瘤の袋を摘出する場合もあれば、状態によっては炎症がある時期に摘出を検討する場合もあります。

そのため、「炎症がある粉瘤は絶対に手術できない」「抗菌薬だけで粉瘤が治る」とは一概にいえません。診察で状態を確認したうえで治療方法を判断します。

状態によって治療方法が異なる

お尻の粉瘤は、くり抜き法と切開法のどちらか一方が常に優れているわけではありません。

小さい粉瘤でも位置や癒着などによって切開法が適していることがあり、反対に状態が適していれば、くり抜き法によって比較的小さな傷口で摘出できる場合があります。

また、炎症を繰り返した粉瘤では袋が破れて周囲と癒着していることもあり、手術方法の選択に影響します。

「できるだけ小さな傷で取りたい」という希望だけで治療方法を決めるのではなく、粉瘤の大きさや位置、炎症・化膿の有無、癒着などを確認し、袋を適切に摘出できる方法を選ぶことが大切です。

ここは「皮膚科か形成外科か」より、場所によっては粉瘤以外の疾患も考える必要があるところまで入れると、お尻特化の記事として差別化できます。

お尻の粉瘤は何科を受診するべきか

お尻に粉瘤と思われるしこりができた場合は、皮膚科や形成外科などを受診します。

どちらが必ず優れているというわけではなく、しこりが粉瘤なのかを診断し、必要に応じて炎症への処置や摘出手術まで対応できる医療機関を選ぶことが大切です。

皮膚科

皮膚科では、お尻にできたしこりが粉瘤なのか、それとも毛包炎やせつなど別の皮膚疾患なのかを診断します。

粉瘤だった場合は、大きさや炎症・化膿の有無などを確認し、状態に応じた治療を行います。摘出手術まで対応している皮膚科もありますが、対応範囲は医療機関によって異なります。

形成外科

形成外科でも、粉瘤の診断や摘出手術が行われています。

粉瘤の大きさや位置、炎症の有無、周囲との癒着などを確認し、くり抜き法や切開法などから状態に適した治療方法を検討します。

皮膚科・形成外科という診療科名だけで判断するのではなく、粉瘤の診断から摘出まで対応しているかを確認するとよいでしょう。

お尻の割れ目・肛門付近では他科の診察が必要な場合もある

お尻の割れ目や肛門に近い部分にできた腫れ・しこりは、必ずしも粉瘤とは限りません。

できる場所や症状によっては、毛巣洞や肛門周囲膿瘍など、粉瘤とは異なる疾患の可能性もあります。その場合は、外科や肛門科などでの診察・治療が必要になることがあります。

特に肛門周辺に強い痛みや腫れがある場合や、膿が出ている場合などは「粉瘤だろう」と自己判断せず、医療機関を受診しましょう。

お尻の粉瘤で受診先を選ぶ際は、皮膚科と形成外科のどちらかという点だけでなく、粉瘤の診断から必要な治療・摘出まで対応できるかを確認することが大切です。

お尻の粉瘤についてよくある質問

お尻の粉瘤についてよくある質問に回答します。

お尻の粉瘤は自然に治りますか?

粉瘤は、基本的に自然に完全に治ることは期待できません。

内容物が外に出て一時的に小さくなったように見えても、皮膚の下に袋が残っていれば再び角質などがたまり、大きくなる可能性があります。

ただし、痛みや炎症がない粉瘤を必ずすぐに摘出しなければならないわけではなく、状態によっては経過観察する場合もあります。

お尻の粉瘤は何科に行けばいいですか?

お尻の粉瘤は、皮膚科や形成外科で診療されています。

どちらを選ぶ場合でも、粉瘤かどうかの診断だけでなく、必要に応じて炎症への処置や摘出手術まで対応しているかを確認するとよいでしょう。

なお、お尻の割れ目や肛門付近では、症状によって外科や肛門科などでの診察が必要になる場合があります。

女性なのですがお尻の粉瘤を見せるのが恥ずかしいです。女性医師は指名できるのでしょうか?

当院は女医が在籍しているので、ご安心ください。

女性医師を指名できるかどうかは、医療機関によって異なります。気になる場合は、予約時に女性医師による診察が可能か確認してみましょう。

また、診察では必要な範囲だけ患部を確認するなど、プライバシーに配慮して診療を行っている医療機関もあります。

恥ずかしさから受診を先延ばしにしているうちに炎症が強くなることもあるため、不安がある場合は予約時に相談しておくと安心です。

お尻の粉瘤を自分で潰してもいいですか?

自分で粉瘤を潰したり、針を刺したりするのは避けてください。

内容物を押し出してしこりが小さくなっても、粉瘤の袋が残っていれば再び内容物がたまる可能性があります。また、無理に潰すことで炎症や感染を悪化させる場合もあります。

お尻の割れ目にできたしこりも粉瘤ですか?

お尻の割れ目にできたしこりが、必ず粉瘤とは限りません。

粉瘤ができることもありますが、お尻の割れ目では毛巣洞など別の疾患がみられることもあります。また、肛門に近い部分の痛みや腫れでは、肛門周囲膿瘍などとの区別も必要です。

見た目だけで判断するのが難しいため、しこりや腫れが続いている場合は医療機関を受診しましょう。

お尻の粉瘤手術は痛いですか?

粉瘤の摘出手術は、一般的に局所麻酔を行ってから実施します。

麻酔の注射をするときに痛みを感じることがありますが、麻酔が十分に効いている間は手術中の痛みが抑えられます。

麻酔が切れたあとに痛みや違和感が出る場合がありますが、その程度には個人差があります。

手術後はいつから座れますか?

手術後に座れる時期は、粉瘤ができていた位置や大きさ、傷口の状態、手術方法などによって異なります。

座ることで傷口に直接強い圧力がかかる場所では、一定期間、長時間の座位や患部への強い圧迫を避けるよう指示されることがあります。

仕事や車の運転などで長時間座る必要がある方は、手術前に医師へ相談しておくとよいでしょう。

お尻の粉瘤手術は保険適用ですか?

粉瘤と診断され、治療として摘出手術などを行う場合は、健康保険が適用されることがあります。

ただし、治療内容や医療機関によって取り扱いが異なる場合があるため、実際の費用や保険適用については受診する医療機関へ確認してください。

お尻の粉瘤は再発しますか?

粉瘤の袋が残っていると、再び内容物がたまって粉瘤が大きくなる可能性があります。

そのため、根本的な治療では内容物を出すだけではなく、袋を含めて摘出することが重要です。

ただし、袋を摘出しても再発の可能性を完全にゼロにできるとは限りません。また、治療した場所とは別の場所に新しい粉瘤ができることもあります。

まとめ

粉瘤はお尻にもできることがあり、炎症を起こすと赤く腫れたり、痛みが出たり、膿がたまったりする場合があります。

粉瘤は内容物が出て一時的に小さくなったように見えても、皮膚の下に袋が残っていれば再び大きくなる可能性があります。自分で潰したり、針を刺して中身を出したりするのは避けましょう。

また、お尻の割れ目や肛門付近のしこりは粉瘤以外の疾患である可能性もあるため、自己判断せず診察を受けることが大切です。

当院では、皮膚科専門医である院長が粉瘤の診断から摘出手術まで対応しています。粉瘤の大きさや部位、炎症・癒着などの状態を確認したうえで、適した治療方法を検討します。

「お尻のしこりが痛い」「粉瘤が腫れている」「粉瘤かどうか分からない」という方は、ぜひ一度当院へご相談ください。