化膿性汗腺炎(かのうせいかんせんえん)は、脇の下や鼠径部(足の付け根)、お尻、陰部周辺などに、痛みを伴うしこりや膿がたまったできものを繰り返す慢性炎症性皮膚疾患です。

初期にはニキビやおでき、粉瘤のように見えることがあります。

「脇に痛いしこりが何度もできる」
「足の付け根のおできが治ってもまたできる」
「しこりから膿が出てくる」
「粉瘤だと思っていたけれど何度も繰り返している」

このような症状がある場合には、化膿性汗腺炎の可能性も考える必要があります。

炎症を繰り返すと、皮膚の下にトンネル状の構造が形成されたり、傷跡が残ったりすることがあります。

あいちビューティークリニックでは、化膿性汗腺炎をはじめ、粉瘤など皮膚・皮下に生じるしこりやできものについて診察し、状態に応じた治療をご提案します。

化膿性汗腺炎とは

化膿性汗腺炎は、英語で「Hidradenitis Suppurativa(HS)」と呼ばれる慢性炎症性皮膚疾患です。

「汗腺炎」という名称から、汗腺そのものが化膿する病気と思われることがありますが、現在では毛包の閉塞や炎症などが病態に関係すると考えられています。

主に、

  • 脇の下
  • 鼠径部
  • 足の付け根
  • お尻
  • 陰部周辺
  • 太ももの内側
  • 乳房の下

など、皮膚同士が接触しやすい場所に生じます。

特徴的なのは、同じ場所やその周辺で炎症を繰り返すことです。

単発のおできとして終わる場合とは異なり、炎症を繰り返すことで病変が慢性化することがあります。

化膿性汗腺炎の初期症状

化膿性汗腺炎の初期には、皮膚の下に小さなしこりが現れることがあります。

初期症状として、

  • 赤いしこり
  • 押すと痛いできもの
  • ニキビのような腫れ
  • おできのような腫れ
  • 皮膚の奥にある硬いしこり

などがみられます。

最初は「ニキビ」「毛嚢炎」「粉瘤」などと思われることもあります。

しかし、化膿性汗腺炎では、一度治ったように見えても同じ場所やその周辺に再びしこりが現れることがあります。

脇や鼠径部、お尻などに痛いしこりを繰り返している場合には、早めに診察を受けることが大切です。

化膿性汗腺炎の主な症状

症状は病気の程度によって異なります。

痛みを伴うしこり

皮膚の深い部分に炎症性のしこりが生じます。

炎症が強くなると赤く腫れ、触れていなくても痛みを感じることがあります。

膿がたまる

炎症が進行すると皮膚の下に膿がたまり、膿瘍を形成することがあります。

膿瘍が破れると、膿や血液の混じった分泌物が出る場合があります。

膿が出る穴ができる

炎症を繰り返すことで、皮膚の下にトンネル状の構造が形成されることがあります。

このような構造は瘻孔(ろうこう)と呼ばれます。

瘻孔が形成されると、一度膿が出ても再び炎症を起こすことがあります。

傷跡が残る

炎症を何度も繰り返すことで、皮膚が硬くなったり、盛り上がったり、引きつれたりする瘢痕が形成されることがあります。

化膿性汗腺炎ができやすい場所

化膿性汗腺炎は身体のどこにでも同じように生じるわけではありません。

特に、

  • 脇・脇の下
  • 鼠径部・足の付け根
  • 陰部・デリケートゾーン周辺
  • お尻
  • 太ももの内側
  • 乳房の下

などにみられます。

これらは皮膚同士が接触しやすく、摩擦や蒸れが生じやすい場所です。

脇の化膿性汗腺炎

脇の下は化膿性汗腺炎が生じやすい代表的な部位です。

最初は毛穴の炎症や小さなおできのように見えることがあります。

一度腫れが引いても、

「また同じ場所にできた」
「少し離れた場所にもできた」
「何度も膿が出ている」

という状態を繰り返す場合には、化膿性汗腺炎の可能性も考える必要があります。

鼠径部・足の付け根の化膿性汗腺炎

鼠径部や足の付け根にも化膿性汗腺炎が生じることがあります。

下着や衣類との摩擦が生じやすいため、炎症があると歩行時に痛みを感じることもあります。

また、膿や分泌物が出ることで下着が汚れたり、臭いが気になったりする場合があります。

デリケートな部位のため受診をためらう方もいますが、繰り返す場合には早めにご相談ください。

お尻の化膿性汗腺炎

お尻にも化膿性汗腺炎が生じることがあります。

座った際に病変が圧迫されることで、強い痛みを感じることがあります。

お尻には粉瘤など別の皮膚疾患も生じるため、見た目だけで判断することはできません。

「何度も同じようなおできができる」「膿が出る穴が治らない」といった場合には診察を受けてください。

化膿性汗腺炎の原因

化膿性汗腺炎の原因は完全には明らかになっていません。

現在では、毛包が詰まって炎症が起こることが発症に関係すると考えられています。

また、

  • 遺伝的な要因
  • 喫煙
  • 肥満
  • 皮膚への摩擦
  • ホルモンなどの影響

などが発症や悪化に関連する可能性があります。

ただし、これらの要因があるからといって必ず化膿性汗腺炎になるわけではありません。

また、化膿性汗腺炎は「身体を不潔にしているから起こる病気」ではありません。

化膿性汗腺炎と粉瘤の違い

化膿性汗腺炎と粉瘤は、どちらも皮膚の下に痛いしこりができることがあるため、間違われることがあります。

粉瘤(表皮嚢腫)は、皮膚の下に袋状の構造が形成され、その中に角質などがたまる病変です。

粉瘤も炎症を起こすと赤く腫れ、強い痛みや膿がみられることがあります。

一方、化膿性汗腺炎では、脇・鼠径部・お尻などに炎症性のしこりを繰り返すことが特徴です。

進行すると複数の病変や瘻孔、瘢痕などが形成されることがあります。

特に、

「粉瘤だと思っていたけれど何度も腫れる」
「脇や足の付け根に複数のしこりができる」
「切開して膿を出してもまた腫れる」

という場合には、化膿性汗腺炎も含めて診断することが重要です。

化膿性汗腺炎とニキビの違い

化膿性汗腺炎の初期症状はニキビのように見えることがあります。

ニキビは主に顔、胸、背中などに生じます。

一方、化膿性汗腺炎は脇や鼠径部、お尻などに生じやすく、深いしこりや膿瘍を繰り返すことがあります。

進行すると瘻孔や瘢痕が形成されることも特徴です。

化膿性汗腺炎と毛嚢炎の違い

毛嚢炎は毛穴を中心として炎症が起こる疾患です。

赤いぶつぶつや、小さく膿を持ったできものとして現れることがあります。

化膿性汗腺炎でも初期には似た症状を示す場合がありますが、より深いしこりや膿瘍を形成し、繰り返すことがあります。

同じ場所に何度も炎症が起きる場合には診察を受けてください。

化膿性汗腺炎はうつる?

化膿性汗腺炎そのものは、人から人へ感染する病気ではありません。

患部へ触れたことによって、化膿性汗腺炎が他人へうつるわけではありません。

また、陰部周辺に生じることがありますが、化膿性汗腺炎そのものは性感染症ではありません。

ただし、陰部のできものには感染症など別の疾患もあるため、自己判断しないことが大切です。

化膿性汗腺炎は自然に治る?

一つのしこりや腫れが一時的に改善することはあります。

膿が自然に出て、しこりが小さくなる場合もあります。

しかし、化膿性汗腺炎は慢性的に再発する可能性のある疾患です。

「膿が出たから治った」と思っていても、再び同じ場所や周辺に炎症が起こることがあります。

炎症を繰り返すことで瘻孔や瘢痕が形成される場合があるため、繰り返している場合には診察を受けてください。

化膿性汗腺炎は自分で治せる?

化膿性汗腺炎を自己判断だけで治療することはおすすめできません。

初期にはニキビや毛嚢炎、粉瘤など他の疾患と区別しにくいことがあります。

また、化膿性汗腺炎であっても症状の程度によって治療方法が異なります。

特に、

  • 何度も同じ場所にできる
  • 複数のしこりがある
  • 強く痛む
  • 膿が出る
  • 傷跡が増えてきた
  • 膿が出る穴が治らない

といった場合には、医療機関を受診してください。

化膿性汗腺炎の膿を自分で出してもいい?

自分でしこりを強く押したり、針を刺したりして膿を出すことは避けてください。

自己処置によって、

  • 炎症の悪化
  • 出血
  • 二次的な感染
  • 傷跡
  • 周囲の皮膚へのダメージ

などにつながる可能性があります。

また、膿を出しただけでは化膿性汗腺炎そのものが改善したとは限りません。

膿がたまって強く痛む場合には医療機関へご相談ください。

化膿性汗腺炎に市販薬は使える?

化膿性汗腺炎について「市販の軟膏で治せないか」と考える方もいます。

しかし、化膿性汗腺炎は症状の程度によって必要な治療が異なる慢性炎症性疾患です。

市販薬だけですべての化膿性汗腺炎を治療することはできません。

また、患者様自身が化膿性汗腺炎だと思っていても、粉瘤や毛嚢炎など別の疾患である可能性があります。

市販薬を使用しても治らない場合や、何度も再発している場合には医療機関を受診してください。

化膿性汗腺炎の診断

化膿性汗腺炎では、一つのできものだけでなく、これまでの経過を確認することが重要です。

診察では、

  • 病変ができている場所
  • しこりの数
  • どのくらいの頻度で繰り返しているか
  • 痛みの程度
  • 膿が出るか
  • 瘻孔があるか
  • 瘢痕が形成されているか
  • 他の部位にも同様の病変があるか

などを確認します。

必要に応じて、粉瘤や毛嚢炎など他の皮膚疾患との鑑別を行います。

化膿性汗腺炎の重症度

化膿性汗腺炎では、病変の状態や広がりなどから重症度を評価します。

代表的な分類方法の一つがHurley分類です。

Hurley I

炎症性のしこりや膿瘍がみられますが、明らかな瘻孔や広範囲な瘢痕が形成されていない状態です。

Hurley II

炎症を繰り返し、瘻孔や瘢痕が形成されている状態です。

Hurley III

広い範囲に複数の病変や瘻孔が形成され、それらがつながっているような状態です。

実際の治療では、この分類だけでなく病変の数や痛み、生活への影響なども考慮します。

化膿性汗腺炎の治療

化膿性汗腺炎の治療方法は、症状や重症度によって異なります。

主な治療には、

  • 外用薬
  • 内服薬
  • 抗菌薬
  • 炎症性病変に対する処置
  • 生物学的製剤
  • 外科的治療

などがあります。

軽症と中等症・重症では治療方針が異なるため、診察によって現在の状態を確認することが重要です。

薬による治療

症状に応じて外用薬や内服薬などが使用されます。

抗菌薬が使用されることもあります。

薬の種類や治療期間は症状によって異なります。

自己判断で市販薬や以前処方された薬を長期間使用せず、医師の指示に従って治療してください。

生物学的製剤による治療

中等症から重症の化膿性汗腺炎では、生物学的製剤が治療選択肢となることがあります。

生物学的製剤は、病気に関係する炎症反応を標的として作用する薬剤です。

すべての患者様が対象となるわけではなく、病気の重症度やこれまでの治療経過などから適応を判断します。

必要に応じて専門的な治療が可能な医療機関をご案内する場合があります。

化膿性汗腺炎の手術

慢性的な瘻孔や瘢痕などが形成されている場合には、外科的治療が検討されることがあります。

手術の方法や切除する範囲は、病変の大きさや広がり、深さなどによって異なります。

病変が広範囲に及んでいる場合には、専門医療機関と連携して治療することがあります。

切開して膿を出せば治る?

膿がたまり、強く腫れて痛んでいる場合には、状態によって切開して膿を排出する処置が行われることがあります。

膿が出ることで腫れや痛みが軽減する場合があります。

しかし、化膿性汗腺炎は慢性炎症性疾患です。

膿を排出する処置だけでは、再び炎症を起こす可能性があります。

何度も切開を繰り返している場合には、化膿性汗腺炎を含めて診断を見直すことも重要です。

化膿性汗腺炎を放置するとどうなる?

軽い病変が一時的に改善することはありますが、炎症を繰り返すと病変が慢性化する可能性があります。

進行すると、

  • しこりを繰り返す
  • 膿瘍ができる
  • 瘻孔が形成される
  • 硬い傷跡が残る
  • 皮膚が引きつれる
  • 病変の範囲が広がる

などの変化がみられることがあります。

特に同じ場所に何度も炎症が起きている場合には、放置せず診察を受けることをおすすめします。

化膿性汗腺炎を悪化させないために

治療とあわせて、皮膚への刺激や悪化に関係する要因を減らすことも重要です。

日常生活では、

  • 患部を強く擦らない
  • きつい下着や衣類による摩擦を減らす
  • 自分でしこりを潰さない
  • 喫煙している場合には禁煙を検討する
  • 肥満がある場合には適正体重を目指す

などが検討されます。

ただし、生活習慣だけで化膿性汗腺炎を治療できるわけではありません。

症状に応じた医療機関での治療と組み合わせることが大切です。

化膿性汗腺炎は何科を受診する?

化膿性汗腺炎は皮膚科などで相談できます。

外科的な治療が必要な場合には、形成外科などで治療することもあります。

患者様自身で化膿性汗腺炎か粉瘤かを判断する必要はありません。

「脇にしこりがある」
「足の付け根のおできが治らない」
「粉瘤だと思っているけれど何度も繰り返す」

という段階でもご相談ください。

このような症状はご相談ください

次のような症状がある場合には、一度医療機関での診察をご検討ください。

  • 脇に痛いしこりを繰り返す
  • 鼠径部におできが何度もできる
  • 足の付け根に痛いしこりがある
  • お尻に繰り返しできものができる
  • 陰部周辺に痛いしこりがある
  • しこりから膿が出る
  • 膿が出る穴が治らない
  • 複数のしこりがある
  • 炎症後の傷跡が増えている
  • 粉瘤だと思っているが何度も再発する
  • 切開しても再び腫れる
  • 市販薬を使っても改善しない

特に、同じ場所やその周辺に何度も症状を繰り返している場合には、その経過を医師へ伝えることが重要です。

名古屋で化膿性汗腺炎についてお悩みなら、あいちビューティークリニックへ

化膿性汗腺炎は、脇や鼠径部、お尻などに痛みを伴うしこりや膿瘍を繰り返す慢性炎症性皮膚疾患です。

初期にはニキビや毛嚢炎、粉瘤などと見分けにくいことがあります。

しかし、

「同じ場所に何度もできる」
「膿を出してもまた腫れる」
「複数のしこりができる」
「傷跡が増えてきた」

という場合には、化膿性汗腺炎も考える必要があります。

炎症を繰り返すことで瘻孔や瘢痕が形成される場合があるため、単なるおできとして自己処置を繰り返さないことが大切です。

あいちビューティークリニックでは、化膿性汗腺炎をはじめ、粉瘤など皮膚・皮下のできものについて診察し、状態に応じた治療をご提案します。

名古屋で化膿性汗腺炎や繰り返す痛いしこりについてお悩みの方は、ご相談ください。

化膿性汗腺炎についてよくある質問

化膿性汗腺炎はどんな病気ですか?

脇や鼠径部、お尻などに痛いしこりや膿瘍を繰り返す慢性炎症性皮膚疾患です。進行すると瘻孔や瘢痕が形成される場合があります。

化膿性汗腺炎の初期症状は?

初期には赤く痛むしこりや、ニキビ・おできのような腫れがみられることがあります。同じ場所やその周辺に繰り返すことが特徴の一つです。

化膿性汗腺炎と粉瘤の違いは?

粉瘤は皮膚の下に袋状の構造が形成され、その中に角質などがたまる病変です。化膿性汗腺炎では、脇や鼠径部などに炎症性のしこりを繰り返し、複数の病変や瘻孔を形成することがあります。

化膿性汗腺炎は自分で治せますか?

自己判断だけで治療することはおすすめできません。特に何度も繰り返している場合には、医療機関で診断を受けてください。

化膿性汗腺炎の膿は自分で出してもいいですか?

自分で針を刺したり強く押したりすることは避けてください。炎症や感染、傷跡などを悪化させる可能性があります。

化膿性汗腺炎に市販薬は使えますか?

市販薬だけですべての化膿性汗腺炎を治療できるわけではありません。また、粉瘤や毛嚢炎など別の疾患との鑑別も必要です。

化膿性汗腺炎はうつりますか?

化膿性汗腺炎そのものは人から人へ感染する病気ではありません。

化膿性汗腺炎は自然に治りますか?

一つの病変が一時的に改善することはありますが、再発する場合があります。繰り返す場合には医療機関へご相談ください。

化膿性汗腺炎は手術が必要ですか?

すべての方に手術が必要なわけではありません。症状や重症度によって薬物療法や生物学的製剤、外科的治療などを検討します。

化膿性汗腺炎は何科に行けばいいですか?

皮膚科などで相談できます。外科的治療が必要な場合には形成外科などと連携することがあります。