皮膚がんとは

皮膚がんとは、皮膚を構成する細胞が悪性化し、異常に増殖する病気の総称です。代表的なものには、基底細胞がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫(メラノーマ)などがあり、それぞれ発生する細胞や進行の仕方、治療方法が異なります。

初期には、ほくろやしみ、湿疹、治りにくい傷、しこりなどに見えることがあり、見た目だけで良性のできものと区別することが難しい場合があります。

「急に大きくなってきた」「形や色が変化している」「出血やかさぶたを繰り返す」「なかなか治らない」といった変化がある場合には注意が必要です。

皮膚がんが疑われる場合には、患部の状態を詳しく確認し、必要に応じて組織の一部または全部を採取して病理検査を行います。治療はがんの種類や大きさ、進行度などによって異なりますが、早期の皮膚がんでは外科的切除が基本となります。

皮膚のできものが良性か悪性かをご自身で判断することは困難です。気になるしこりやほくろ、治りにくい皮膚症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

腫瘍の良性悪性の見分け方

皮膚のできものは、見た目だけで良性・悪性を正確に判断することは困難です。しかし、皮膚がんでは、ほくろやシミ、イボ、傷などに似た症状から始まり、時間の経過とともに変化が現れることがあります。

特に、次のような変化がみられる場合には注意が必要です。

  • ほくろやシミの形・色・大きさが変化している
  • できものが短期間で大きくなっている
  • 出血やかさぶたを繰り返している
  • 傷やただれがなかなか治らない
  • 赤く硬いしこりや光沢のあるできものがある
  • 痛みやかゆみなどの症状が続いている

悪性黒色腫(メラノーマ)の「ABCDEルール」

ほくろと悪性黒色腫(メラノーマ)を見分ける際の目安として、「ABCDEルール」があります。

項目チェックポイント
A:Asymmetry左右非対称で、形がいびつ
B:Border境界がギザギザしている、ぼやけている
C:Color黒・茶・赤など色にむらがある
D:Diameter直径6mmを超える
E:Evolution大きさ・形・色などが変化している

ただし、ABCDEルールはあくまで目安です。小さなメラノーマや典型的な特徴を示さないものもあり、反対にこれらの特徴があっても良性の場合があります。

また、メラノーマは足の裏や手のひら、爪の下などにも発生します。爪に黒褐色の線が現れ、徐々に幅が広くなる、色が濃くなる、爪の周囲の皮膚にまで色が広がるといった変化にも注意が必要です。

医療機関では、必要に応じてダーモスコピーを使用して皮膚のできものを詳しく観察し、悪性が疑われる場合には病理検査などを行って診断します。

皮膚がんの種類

皮膚がんにはさまざまな種類があり、発生する細胞や進行の速さ、転移のしやすさ、治療方法などが異なります。

代表的な皮膚がんには、悪性黒色腫(メラノーマ)、基底細胞がん、有棘細胞がんなどがあります。また、日光角化症やボーエン病のように、表皮内にとどまっている段階の病変もあります。

悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫は、メラニン色素を作る「メラノサイト」などが悪性化して生じる皮膚がんです。「ほくろのがん」と呼ばれることもあります。

日本人では足の裏に発生するタイプが比較的多く、手のひらや爪の下、体幹、顔などにも発生します。

悪性黒色腫を疑う目安として「ABCDEルール」があり、左右非対称、境界が不整、色むら、直径6mmを超える、時間とともに変化するといった特徴に注意します。

ただし、6mm未満のメラノーマもあるため、大きさだけで良性・悪性を判断することはできません。

治療は外科的切除が基本です。病変の厚さや進行度によっては、周囲の皮膚を含めて切除したり、センチネルリンパ節生検を行ったりします。転移や進行がみられる場合には、免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬などによる薬物療法が検討されます。

基底細胞がん

基底細胞がんは、表皮の基底層や毛包などに関連する細胞から発生する皮膚がんです。

顔面に発生する割合が高く、特に鼻やまぶたなど顔の中心部付近に多くみられます。

初期には数mm程度の黒色〜黒褐色の光沢のある盛り上がりとして現れることがあり、ほくろと間違われることがあります。一般的には比較的ゆっくりと成長しますが、進行すると中心部分が潰瘍になり、出血やかさぶたを繰り返すことがあります。

ほかの臓器へ転移することは非常にまれですが、放置すると周囲の皮膚や軟骨、骨などへ広がることがあります。

治療は腫瘍を十分な範囲を含めて外科的に切除することが基本です。部位や大きさなどによって、切除後に皮弁や植皮による再建が必要になることもあります。

有棘細胞がん

有棘細胞がんは、表皮を構成する角化細胞から発生する皮膚がんです。

顔や耳、手の甲など紫外線を受けやすい場所に発生しやすいほか、やけどや傷あと、慢性的な炎症がある部分などから発生することもあります。

赤く硬いしこりやイボのような盛り上がりとして現れ、表面に潰瘍やかさぶたを伴うことがあります。進行すると出血したり、細菌感染によって悪臭を伴ったりすることもあります。

基底細胞がんとは異なり、進行するとリンパ節などへ転移する可能性があります。

治療は外科的切除が基本です。進行度によってはリンパ節の評価・治療や放射線治療、薬物療法などを組み合わせる場合があります。

日光角化症

日光角化症は、長期間にわたり紫外線を浴びることで生じる病変で、主に中高年以降にみられます。

顔や頭部、耳、手の甲など、長年日光にさらされてきた部分にできやすく、数mm〜数cm程度の赤みを帯びたガサガサした皮疹として現れることがあります。

日光角化症の一部は、時間の経過とともに有棘細胞がんへ進行する可能性があります。

治療には、液体窒素による凍結療法、外用薬、外科的切除などがあり、病変の数や大きさ、発生部位などによって選択します。

ボーエン病

ボーエン病は、がん細胞が表皮内にとどまっている有棘細胞がんの一種(表皮内がん)です。

赤色〜褐色の斑点として現れ、表面がガサガサしたり、かさぶたやただれを伴ったりします。数か月以上治らない湿疹のように見えることもあります。

表皮内にとどまっている間は転移しませんが、基底膜を越えて浸潤すると有棘細胞がんとして転移する可能性が生じます。

治療は外科的切除が基本ですが、病変の状態などによっては凍結療法や外用療法などが検討されることもあります。

乳房外パジェット病

乳房外パジェット病は、主に外陰部、肛門周囲、わきの下などに発生する皮膚がんです。高齢者に多くみられます。

赤みやただれ、かゆみなどが現れ、湿疹やかぶれと間違われることがあります。長期間にわたって治らないため、塗り薬を使用しても改善しない湿疹のような症状には注意が必要です。

治療は外科的切除が基本です。進行してリンパ節やほかの臓器への転移がみられる場合には、薬物療法などが検討されます。

メルケル細胞がん

メルケル細胞がんは、比較的まれですが、進行が速く転移しやすい皮膚がんの一つです。高齢者に多く、顔や頭部、腕など紫外線を受けやすい場所に発生する傾向があります。

赤色〜赤紫色の硬いしこりとして現れ、痛みがないことも少なくありません。数週間〜数か月程度の比較的短い期間で大きくなることがあります。

治療は外科的切除が中心となり、病状に応じて放射線治療や免疫療法などを組み合わせます。

皮膚付属器がん

皮膚付属器がんは、汗腺、脂腺、毛包などの「皮膚付属器」から発生する悪性腫瘍の総称です。

比較的まれな皮膚がんで、しこりや赤み、潰瘍などさまざまな見た目を示します。良性腫瘍と似ていることもあり、見た目だけで診断することが難しい場合があります。

治療は外科的切除が基本となりますが、がんの種類や進行度によって治療方針が異なります。

隆起性皮膚線維肉腫

隆起性皮膚線維肉腫は、皮膚の真皮などから発生する比較的まれな悪性腫瘍です。

20〜50歳代の成人にみられることが多く、体幹や手足などに発生します。はじめは硬いしこりや皮膚の盛り上がりとして現れ、数年かけてゆっくり大きくなることがあります。

遠隔転移することは比較的まれですが、周囲の組織へ入り込むように広がるため、局所再発しやすい特徴があります。

治療は、腫瘍の周囲を含めた十分な範囲の外科的切除が基本です。切除が難しい場合などには、分子標的薬が検討されることもあります。

血管肉腫

血管肉腫は、血管やリンパ管の内皮細胞から発生する、比較的まれな悪性腫瘍です。

特に高齢者の頭皮や顔面に発生することが多く、初期には赤色〜紫色のあざや内出血のように見えることがあります。

進行すると病変の範囲が広がり、しこりや潰瘍、出血などが現れることがあります。また、進行が速く、肺などへ転移することもあるため注意が必要です。

治療には外科的切除や放射線治療、抗がん剤などがあり、病変の範囲や進行度に応じて複数の治療を組み合わせることがあります。

皮膚がんは早期発見・治療が大切

皮膚がんは、内臓に発生するがんとは異なり、ご自身でも病変の変化に気づきやすいがんです。一方で、初期にはほくろやシミ、イボ、湿疹、しこりなどの良性のできものとよく似ており、見た目だけで判断することは簡単ではありません。

「以前より大きくなっている」「色や形が変わってきた」「出血やかさぶたを繰り返す」「治らないできものがある」といった変化がみられる場合には、自己判断で放置せず、早めに医療機関を受診することが大切です。

皮膚がんは種類によって進行の速さや治療方法が異なりますが、早期に発見できれば、外科的切除などによって治療できるケースも多くあります。

あいちビューティークリニックでは、皮膚のできものを医師が診察し、必要に応じて切除や病理検査を行います。「粉瘤だと思っていたけれど違うかもしれない」「良性のできものか心配」など、気になる症状がある方もお気軽にご相談ください。