この記事では、粉瘤の特徴や原因、中身について解説するとともに、粉瘤と似ているできもの・しこりとの違いや見分ける際のポイントについて紹介します。

粉瘤(アテローム)とは

粉瘤(ふんりゅう)とは、皮膚の下に袋状の構造ができ、その中に本来は皮膚から剥がれ落ちるはずの角質や皮脂などがたまっていく良性の皮膚腫瘍です。「アテローム」や「表皮嚢腫」と呼ばれることもあります。

初期には小さなしこりとして気づくことが多く、痛みや赤みなどの症状がない場合もあります。

しかし、粉瘤は時間の経過とともに大きくなったり、炎症を起こして赤く腫れたりすることがあります。

粉瘤の特徴:皮膚の下に袋状の構造ができる良性の皮膚腫瘍

粉瘤は、皮膚の下に「嚢胞(のうほう)」と呼ばれる袋状の構造が形成され、その内部に角質や皮脂などが少しずつ蓄積することでできます。

見た目は皮膚の下にできた丸いしこりのように見えることが多く、中央に黒い点のような開口部が確認できる場合もあります。

袋の中には角質などがたまっているため、強く圧迫したり自然に破れたりすると、白色から黄色っぽい粥状の内容物が出てくることがあります。また、内容物には独特の強いにおいを伴うことがあります。

粉瘤そのものは基本的に良性ですが、徐々に大きくなったり炎症を起こしたりすることがあるため、変化には注意が必要です。

皮膚の下にしこりができる

粉瘤は、皮膚の下に袋状の構造が形成され、その内部に角質や皮脂などがたまることで、丸く盛り上がったしこりとして現れます。

大きさは数mm程度の小さなものから、数cm以上になるものまでさまざまです。

炎症を起こしていない粉瘤は痛みがないことも多く、触ったときに皮膚の下にコリコリとしたしこりがあることで気づく場合があります。

中央に黒い点や開口部が見られることがある

粉瘤では、しこりの中央付近に黒い点や小さな穴のようなものが見られることがあります。

これは「開口部」と呼ばれ、粉瘤の袋と皮膚表面がつながっている部分です。皮脂や角質などが詰まることで、黒い点のように見えることがあります。

ただし、すべての粉瘤に目立つ開口部があるわけではありません。黒い点が見当たらないからといって、粉瘤ではないとは判断できません。

時間とともに大きくなることがある

粉瘤の袋の中には、剥がれ落ちた角質などが少しずつたまっていきます。

そのため、最初は小さなしこりだったものが、数か月から数年かけて徐々に大きくなることがあります。

大きくなるまで痛みなどの自覚症状がない場合もあり、気づかないうちに目立つ大きさになっているケースもあります。

押すと臭い内容物が出ることがある

粉瘤を強く押したり、自然に破れたりすると、開口部から白色〜黄色っぽい粥状の内容物が出てくることがあります。

内容物は主に角質などがたまったもので、独特の強いにおいを伴うことがあるのも粉瘤の特徴です。

ただし、自分で粉瘤を潰したり、無理に中身を押し出したりするのは避けましょう。袋そのものが残っていれば再び内容物がたまるうえ、刺激によって炎症や細菌感染を起こす可能性があります。

炎症を起こすと赤く腫れて痛くなる

粉瘤に炎症が起こると、それまで痛みのなかったしこりが急に赤く腫れ、熱感や痛みを伴うことがあります。

炎症が強くなると、しこりがさらに大きく腫れたり、膿がたまったりすることもあります。このような状態は「炎症性粉瘤」と呼ばれます。

さらに炎症が進行すると粉瘤が自然に破れ、膿や悪臭を伴う内容物が出てくる場合もあります。

赤みや腫れ、痛みが出ている場合は炎症が進んでいる可能性があるため、自分で潰したりせず、医療機関を受診することが大切です。

粉瘤は自然に治る?

一度形成された粉瘤が、基本的に自然治癒することはありません。

粉瘤が自然に破れて中身が出ると、しこりが小さくなり「治った」と感じることがあります。しかし、皮膚の下に粉瘤の袋(嚢胞壁)が残っていると、再び角質などがたまり、しこりが大きくなる可能性があります。

また、自分で粉瘤を潰したり内容物を押し出したりすると、細菌感染や炎症を引き起こす原因になるためおすすめできません。

粉瘤を根本的に治療するためには、内部の内容物だけではなく、原因となっている袋状の組織まで取り除く必要があります。

粉瘤を放置するとどうなる?

痛みのない小さな粉瘤であれば、すぐに大きな問題が起こるとは限りません。

しかし、粉瘤の袋が残っている限り内部には角質などがたまり続けるため、時間の経過とともにしこりが大きくなることがあります。

また、炎症を起こすと赤く大きく腫れ、熱感や強い痛みを伴う「炎症性粉瘤」になることがあります。さらに炎症が進行すると、膿がたまったり、粉瘤が自然に破れて内容物が出てきたりすることもあります。

炎症や再発を繰り返すと、粉瘤と周囲の組織との癒着が強くなり、状態によっては治療が複雑になる可能性もあります。

粉瘤が小さく症状がないうちは放置してしまいがちですが、大きくなる、赤く腫れる、痛みが出るといった変化がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

ここは「原因は一つではない」「不潔だからできるわけではない」を明確にすると、読者の疑問を解消しやすいです。

粉瘤ができる原因

毛穴の詰まりなどが関係してできることがある

粉瘤の多くは、毛穴の一部などから皮膚の成分が皮膚内部に入り込み、袋状の構造が形成されることで発生すると考えられています。

袋の内側は皮膚の表面と似た構造になっており、そこから作られる角質が外へ排出されず、内部に少しずつたまることでしこりが大きくなっていきます。

毛穴がある場所であれば発生する可能性があるため、顔や首、背中、耳の周辺など、身体のさまざまな部位に粉瘤ができます。

外傷や手術をきっかけにできることがある

切り傷や擦り傷などの外傷、手術などをきっかけとして粉瘤ができることもあります。

傷ができた際に、皮膚表面にある表皮の組織が皮膚の深い部分へ入り込むと、そこで袋状の構造を形成し、内部に角質がたまって粉瘤になることがあります。

このようなタイプは、過去にケガや手術を受けた場所などに発生することがあります。

原因を特定できない粉瘤も多い

粉瘤ができる原因にはいくつかの要因が考えられていますが、すべての粉瘤で明確な原因が分かるわけではありません。

「特にケガをした覚えがない」「毛穴のトラブルもなかった」という場合でも、粉瘤ができることはあります。

そのため、粉瘤ができたからといって、日常生活の中に必ず何か明確な原因があったとは限りません。

不潔にしていることが原因とは限らない

粉瘤の中から臭いのある内容物が出てくることがあるため、「皮膚を清潔にしていなかったからできたのでは?」と考える方もいます。

しかし、粉瘤は皮膚の下に袋状の構造が形成され、その内部に角質などがたまることで生じるものであり、単純に身体を不潔にしていることが原因でできるものではありません。

毎日身体を洗って清潔にしていても、粉瘤ができることはあります。

また、粉瘤の袋は皮膚の下に存在するため、洗浄やスキンケアによって取り除くこともできません。

粉瘤ができた場合は必要以上に洗ったり強くこすったりせず、しこりが大きくなる、赤く腫れる、痛みが出るなどの変化があれば医療機関を受診しましょう。

粉瘤の中身は何?

粉瘤を押したり、自然に破れたりした際に、白色〜黄色っぽいドロドロとした内容物が出てくることがあります。

ここでは、粉瘤の中身が何なのか、なぜ臭いがするのかについて解説します。

粉瘤の中には角質などが溜まっている

粉瘤の袋の内側は、皮膚の表面と似た表皮成分でできています。

通常、皮膚の表面では古くなった角質が垢として自然に剥がれ落ちていきます。

しかし、粉瘤では皮膚の下に袋状の構造ができているため、そこで作られた角質が外へ排出されず、袋の中に少しずつ蓄積していきます。

そのため、粉瘤を圧迫したり自壊したりすると、白色や黄色っぽい粥状の内容物が出てくることがあります。

粉瘤は「脂肪の塊」と思われることもありますが、脂肪細胞が増えてできる脂肪腫とは異なるものです。

粉瘤の中身が臭いのはなぜ?

粉瘤の中身には、独特の強いにおいがすることがあります。

これは、袋の中に長期間たまった角質などが変性したり、細菌が関与したりすることなどによって生じます。

特に粉瘤が炎症を起こしている場合は、膿が混ざり、強いにおいを伴うこともあります。

ただし、臭いがあるからといって必ず炎症や感染を起こしているとは限りません。炎症のない粉瘤でも、内容物に独特のにおいがみられることがあります。

中身を出しても粉瘤が治るわけではない

粉瘤を押して中身を出すと、しこりが小さくなり、一時的に治ったように見えることがあります。

しかし、粉瘤の原因となっている袋(嚢胞壁)が皮膚の下に残っていると、再び角質などがたまり、しこりが大きくなる可能性があります。

そのため、粉瘤を根本的に治療するには、中身を排出するだけではなく、袋状の組織まで取り除くことが重要です。

また、自分で粉瘤を潰したり、針などを刺して中身を出そうとしたりすると、細菌が入り込んで炎症を起こしたり、周囲の組織を傷つけたりする可能性があります。

粉瘤が気になる場合は自分で処置せず、医療機関で適切な診断・治療を受けましょう。

ここは「見た目だけでは区別しにくい」という前提を置いて、粉瘤との違いを各H3で簡潔に説明すると使いやすいです。

粉瘤と似ているできもの・しこり

皮膚にしこりができたからといって、必ずしも粉瘤とは限りません。

ここでは、粉瘤と間違えやすい代表的なできもの・しこりについて解説します。

ニキビ

ニキビは、毛穴に皮脂や角質が詰まり、炎症などを起こすことで生じます。

赤く腫れたり、中央に白っぽい膿が見えたりすることがあるため、特に小さな粉瘤とは見た目が似ている場合があります。

大きな違いは、粉瘤には皮膚の下に袋状の構造が形成されていることです。

ニキビは適切な治療などによって改善することがありますが、粉瘤は袋が残っている限り自然になくなることは基本的にありません。

おでき(せつ)

おでき(せつ)は、毛穴の奥にある毛包に細菌が感染し、炎症を起こした状態です。

赤く腫れて盛り上がり、痛みや膿を伴うことがあります。

炎症を起こした粉瘤も赤く大きく腫れて痛みを伴うため、外見だけでは区別しにくいことがあります。

ただし、おできは細菌感染による毛包の炎症であるのに対し、粉瘤は皮膚の下に形成された袋の中に角質などがたまる病気です。

毛嚢炎

毛嚢炎は、毛穴の奥にある毛包に炎症が起こる病気です。

毛穴に一致して赤いブツブツや小さな膿疱ができることが多く、ニキビのような見た目になることがあります。

粉瘤と比べると比較的小さいものが多く、複数個が同時にできることもあります。

一方、粉瘤は皮膚の下に袋状の構造があり、しこりとして触れることが特徴です。

脂肪腫

脂肪腫は、皮膚の下にある脂肪細胞が増殖してできる良性の腫瘍です。

皮膚の下にしこりができる点では粉瘤と似ていますが、脂肪腫は比較的やわらかく、指で触れると動くように感じられることがあります。

また、粉瘤でみられることがある中央の黒い点や開口部は、通常、脂肪腫にはありません。

粉瘤と脂肪腫では内部の構造や治療方法も異なるため、しこりの見た目だけで自己判断しないことが大切です。

石灰化上皮腫

石灰化上皮腫は、毛を作る細胞に由来すると考えられている良性の皮膚腫瘍です。

子どもや若い方にみられることが多く、顔や首、腕などに発生する傾向があります。

皮膚の下に硬いしこりとして触れることが特徴で、粉瘤と間違われることがあります。

粉瘤と比べて石のように硬く感じることがありますが、触った感触だけで正確に判断することは困難です。

粉瘤と他のできものを見分けるポイント

粉瘤には、皮膚の下にしこりができる、中央に開口部がみられることがある、内容物が出ることがあるなどの特徴があります。

ただし、ニキビや脂肪腫、おできなどにも似た症状がみられるため、見た目だけで粉瘤と判断するのは難しい場合があります。

粉瘤とほかのできものを見分ける際に確認したいポイントを紹介します。

しこりの硬さ・触り心地

粉瘤は皮膚の下に袋状の構造が形成されているため、触れると丸みのあるしこりとして感じることがあります。

一方、脂肪腫は比較的やわらかく、皮膚の下で動くように感じられることがあります。石灰化上皮腫では、粉瘤よりも硬いしこりとして触れることがあります。

ただし、大きさや炎症の有無などによって触り心地は変わるため、硬さだけで粉瘤かどうかを判断することはできません。

中央に開口部があるか

粉瘤の特徴の一つが、しこりの中央付近にみられる小さな開口部です。

開口部に角質などが詰まると、黒い点のように見えることもあります。

粉瘤を見分ける手がかりの一つになりますが、すべての粉瘤で開口部がはっきり確認できるわけではありません。

そのため、「黒い点がないから粉瘤ではない」と自己判断するのは避けましょう。

赤み・腫れ・痛みがあるか

炎症を起こしていない粉瘤では、しこりがあっても赤みや痛みがほとんどないことがあります。

しかし、炎症を起こすと急に赤く腫れ、熱感や強い痛みが現れることがあります。

ただし、ニキビやおでき、毛嚢炎などでも赤みや腫れ、痛みは生じます。

赤く腫れているという症状だけで粉瘤と判断することは難しく、ほかの症状とあわせて確認する必要があります。

内容物や膿が出ているか

粉瘤が自然に破れたり圧迫されたりすると、白色〜黄色っぽい粥状の内容物が出ることがあります。

内容物に独特の強いにおいがあることも、粉瘤でみられる特徴の一つです。

炎症を起こしている場合には膿が混ざることもあります。

一方、おできやニキビなどでも膿が出ることがあるため、「膿が出たから粉瘤」とは限りません。

自己判断が難しい場合は医療機関を受診する

粉瘤にはいくつか特徴がありますが、ほかの皮膚疾患や皮下腫瘍と見た目が似ている場合があります。

特に炎症を起こしていると、粉瘤なのか、おできなどの感染症なのかを自分で見分けることが難しくなります。

また、しこりのなかには粉瘤以外の腫瘍が隠れている可能性もあります。

しこりが徐々に大きくなっている、赤く腫れている、痛みがあるなど、気になる症状がある場合は自己判断せず、医療機関で診断を受けましょう。

粉瘤かもしれない場合はどうする?

「皮膚の下にしこりがある」「中央に黒い点がある」といった粉瘤を疑う症状に気づいた場合は、自分で潰したり中身を出したりせず、状態を確認することが大切です。

特に赤みや腫れ、痛みがある場合は炎症が起きている可能性があるため、早めの受診を検討しましょう。

粉瘤を自分で潰さない

粉瘤に開口部があると、指で強く押すことで内容物が出てくることがあります。

しかし、自分で粉瘤を潰すことはおすすめできません。

内容物を出してしこりが小さくなっても、皮膚の下に袋(嚢胞壁)が残っていれば再び角質などがたまり、再発する可能性があります。

さらに、無理に押し出したり針を刺したりすると、皮膚を傷つけて細菌が入り、炎症や感染を引き起こす原因にもなります。

赤く腫れて痛い場合は早めに受診する

粉瘤が急に大きくなり、赤みや腫れ、痛みが現れた場合は、炎症を起こしている可能性があります。

炎症が進行すると、膿がたまってさらに腫れたり、粉瘤が自然に破れて膿や内容物が出たりすることもあります。

また、炎症を繰り返すことで周囲の組織との癒着が強くなり、その後の治療が複雑になる場合もあります。

強い痛みがある、急速に腫れてきた、膿が出ているといった場合は放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。

医療機関で袋を切除する根治治療を受ける

粉瘤を根本的に治療するためには、内部にたまった角質などを排出するだけではなく、皮膚の下にある袋(嚢胞壁)まで取り除く必要があります。

そのため、粉瘤の根本的な治療では手術による摘出が行われます。

代表的な方法には、皮膚を切開して粉瘤の袋を取り除く方法や、小さな穴を開けて内容物を排出したあと袋を摘出する「くり抜き法」などがあります。

どの方法が適しているかは、粉瘤の大きさやできている場所、炎症の有無、過去の炎症歴などによって異なります。

粉瘤が小さく炎症を起こしていない段階では、状態によって比較的小さな傷で摘出できることもあります。一方、大きくなったり炎症を繰り返したりすると、周囲との癒着などによって治療が複雑になる場合があります。

粉瘤が疑われるしこりに気づいた場合は、症状が悪化するまで放置せず、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。

まとめ

また、粉瘤の中身を自分で押し出したり潰したりしても、袋状の構造が残っていれば再び内容物が溜まる可能性があります。

無理に触ることで炎症や感染につながることもあるため、自分で処置することは避けましょう。

気になるしこりがある場合や、赤み・腫れ・痛みなどの症状がある場合は、自己判断せず医療機関を受診することが大切です。