「胸にしこりができたけど、これって粉瘤?」
「ニキビのようなできものがなかなか治らない」
「乳房のしこりなので、乳がんではないか心配…」

粉瘤は硬いしこり、大きくなる、内容物が破れると悪臭臭、炎症を起こすと赤く腫れるといった特徴があります。

しかし、胸には脂肪腫やニキビ・毛嚢炎のほか、乳腺嚢胞、乳腺炎、線維腺腫、乳がんなどさまざまな原因があり、見た目や触った感覚だけで判断することは難しいです。

この記事では、胸にできる粉瘤の特徴を実際の症例画像とともに紹介し、粉瘤と間違えやすいほかのできものとの違いや治療方法について解説します。

胸の粉瘤の特徴

胸は衣類や下着が触れやすく、できた場所によっては摩擦による刺激を受けやすく粉瘤ができやすい部位です。

  • 形状・見た目:ドーム状の丸いしこりで最初は小さく徐々に大きくなったりします。
  • 色・見た目:初期は皮膚と同じ色ですが、炎症を起こすと赤く腫れて、痛みや熱感、膿などの症状が現れることもあります。
  • しこりの中央:中央に黒い点のような開口部がみられる場合があります。
  • 触感:硬くコリコリと弾力があり皮膚の下で動く感じで、柔らかくはないです。
  • 臭い:強く圧迫すると袋が潰れて膿が皮膚から出てきて、チーズのような腐敗した独特の悪臭を放ちます。

炎症した粉瘤の切除

術前
胸にできた粉瘤が炎症を起こし、赤みや腫れがみられる状態です。

術後
炎症の程度や周囲の組織の状態を確認しながら粉瘤を摘出し、傷口を丁寧に縫合しました。

摘出した粉瘤
実際に摘出した粉瘤です。炎症した粉瘤は袋が周囲の組織と癒着したり、破れやすくなったりすることがあるため、状態を確認しながら慎重に摘出します。

炎症した粉瘤の切開排膿

処置前
胸にできた粉瘤が強く炎症を起こし、赤みや腫れ、痛みがみられる状態です。

切開・排膿後
粉瘤を切開し、内部にたまった膿や内容物を排出しました。炎症が強い場合は、無理に袋を摘出せず、まず切開・排膿によって炎症を落ち着かせることがあります。

胸にできる間違えやすいできもの

胸にできるしこりやできものは、すべてが粉瘤とは限りません。皮膚にできる脂肪腫やニキビ・毛嚢炎のほか、乳房の場合は乳腺嚢胞や乳腺炎、線維腺腫など乳腺に生じる病変も考えられます。

脂肪腫(しぼうしゅ)

脂肪細胞が増殖してできる良性の腫瘍です。皮膚の下にやわらかいしこりとして触れることが多く、通常は痛みを伴いません。粉瘤のような袋の中に角質がたまる病変ではなく、中央の黒い点(開口部)も通常みられません。

ニキビ・毛嚢炎(もうのうえん)

毛穴や毛包に炎症が起こり、赤いぶつぶつや膿をもったできものが生じます。胸は皮脂や汗の影響を受けやすいため、ニキビや毛嚢炎ができることがあります。

粉瘤と比べて小さなできものが複数現れることもあります。

乳腺嚢胞

乳腺内に液体がたまって袋状になったものです。乳房のしこりとして触れることがあり、粉瘤と間違えることがあります。

粉瘤が主に皮膚や皮下にできるのに対し、乳腺嚢胞は乳腺内に生じます。

乳腺炎

乳腺に炎症が起こった状態で、乳房の腫れや赤み、熱感、痛みなどが現れます。発熱を伴うこともあります。

炎症した粉瘤でも赤みや痛みが生じるため似ていますが、炎症が起きている場所や原因が異なります。

乳腺症

乳腺にさまざまな良性の変化が生じる状態の総称です。

乳房の張りや痛み、しこりなどを感じることがあり、月経周期に伴って症状が変化する場合もあります。皮膚に袋状の構造ができる粉瘤とは異なります。

線維腺腫

比較的若い女性に多くみられる良性の乳腺腫瘍です。弾力のあるしこりとして触れ、比較的動きやすいことがあります。

皮膚表面ではなく乳腺内にできるため、粉瘤とは発生する組織が異なります。

乳がん

乳腺に発生する悪性腫瘍です。乳房のしこりのほか、皮膚のひきつれやくぼみ、乳頭の変化、血性の乳頭分泌などがみられることがあります。

ただし、初期にはしこり以外の症状がないこともあり、症状だけで良性・悪性を判断することはできません。

まとめ

胸にも粉瘤はできることがあり、皮膚の下のしこりとして触れたり、炎症を起こすと赤く腫れて痛みや膿が生じたりすることがあります。

炎症が強い場合には切開・排膿を行い、状態によっては炎症が落ち着いてから粉瘤の袋を摘出することがあります。一方、炎症の程度などによっては袋を含めて摘出できる場合もあり、治療方法は状態に応じて判断します。

また、胸のしこりには脂肪腫やニキビ・毛嚢炎だけでなく、乳腺嚢胞や乳腺炎、線維腺腫、乳がんなど乳腺に生じる病変もあります。

特に、乳房の奥にしこりを感じる、硬いしこりが続く、乳房の皮膚や乳頭に変化がある場合などは、粉瘤と自己判断せず乳腺外科などを受診しましょう。皮膚表面にできた粉瘤が疑われる場合は、皮膚科や形成外科で相談できます。