「耳たぶにコリコリしたしこりがある」

「耳の後ろにできものがあるけれど、粉瘤?」

「ピアスの近くにしこりができて痛い」

「耳の粉瘤を手術すると傷跡は目立つ?」

耳や耳たぶ、耳の後ろにも粉瘤(アテローム)ができることがあります。

耳は鏡でも確認しにくい場所があり、ニキビやおできなどほかのできものとの区別が難しいこともあります。

この記事では、耳に粉瘤ができる原因、耳たぶ・耳の後ろにできるしこりとの見分け方、何科を受診すればよいのか、くり抜き法・切開法による治療、手術費用や傷跡について解説します。

耳に粉瘤ができる原因

耳の粉瘤は、皮膚の内側に袋状の構造ができ、その中に角質などが溜まることで形成されます。

粉瘤ができる原因は明確に分からないことも多く、単純に「耳が汚れている」「皮脂が多い」ことだけが原因ではありません。

毛穴などをきっかけに形成される

粉瘤の多くを占める表皮嚢腫は、毛包の一部などをきっかけに形成されると考えられています。

皮膚の内側にできた袋の中へ角質などが溜まり、徐々に大きくなっていきます。

ニキビと似て見えることがありますが、皮脂が毛穴に詰まってできるニキビとは異なるものです。

外傷などにより表皮が内側に入り込む

外傷などをきっかけに、皮膚表面の表皮成分が皮膚の内側へ入り込み、粉瘤が形成される場合があります。

ただし、耳をぶつけたり傷つけたりしたからといって、必ず粉瘤ができるわけではありません。

ピアスがきっかけになることも

ピアスホールを開けた際の外傷などをきっかけに、粉瘤のような嚢腫が形成される可能性はあります。

ただし、「ピアスを開けると粉瘤ができる」というわけではありません。

また、ピアスホール周辺のしこりは粉瘤とは限らず、炎症や感染、瘢痕、ケロイドなどによって生じることもあります。

ピアス周辺にしこりができた場合は、自分で潰したり粉瘤と決めつけたりせず、診察を受けることが大切です。

ピアスホール周辺にしこりができている場合は、肉芽やケロイドの可能性もあります。『ピアス付近にできたできものの見分け方』をご参照ください。

体質・遺伝的な要因

粉瘤ができやすく、身体のさまざまな場所に繰り返しできる方もいます。

また、まれに遺伝性疾患などに関連して粉瘤が多発する場合もありますが、一般的な粉瘤の多くは遺伝だけで説明できるものではありません。

耳を不潔にしていることが直接の原因とは限らない

「耳をきれいに洗えていないから粉瘤ができたのでは?」と考える方もいますが、不潔にしていることが粉瘤の直接的な原因になるとは限りません。

耳を清潔にしていても粉瘤ができることはあります。

また、すでに形成された粉瘤は、耳を念入りに洗ったり皮脂を取り除いたりするだけでなくなるものではありません。

耳の粉瘤の治療方法

耳の粉瘤を根本的に治療する場合には、内容物だけでなく、皮膚の内側にある袋状の構造(嚢腫壁)を含めて摘出することが重要です。

当院では、粉瘤の大きさや炎症・癒着の程度、できている位置などを確認し、くり抜き法または切開法から適した術式を選択します。

くり抜き法

くり抜き法は、粉瘤の表面に専用の器具などで小さな穴を開け、内容物を排出したあとに袋状の構造を取り除く方法です。

切開範囲を比較的小さくできるため、傷跡を小さく抑えやすいという特徴があります。耳は目につきやすい部位でもあるため、傷跡にも配慮しながら手術方法を検討します。

ただし、「耳の粉瘤だからくり抜き法」「傷を小さくしたいから必ずくり抜き法」になるわけではありません。

粉瘤の大きさや炎症、癒着などによっては、切開法の方が適している場合があります。

切開法

切開法は、粉瘤の状態に合わせて皮膚を切開し、袋状の構造を確認しながら摘出する方法です。

大きな粉瘤や炎症・癒着がある場合など、くり抜き法では摘出が難しいと判断した場合に選択することがあります。

耳は凹凸があり形態が複雑なため、粉瘤の位置や耳の形を確認しながら、切開する位置や範囲を検討します。

耳の粉瘤だから一律に術式が決まるわけではありません。傷跡の小ささだけを優先するのではなく、粉瘤を適切に摘出できる方法を選択することが重要です。

耳の粉瘤の手術症例

当院で耳にできた粉瘤を摘出した症例をご紹介します。

術前

耳たぶに1cm程のしこりがみられ、診察の結果、粉瘤と診断しました。

術後

4mmパンチを使用したくり抜き法/切開法により、粉瘤を摘出しました。

耳は立体的で凹凸のある部位のため、粉瘤の位置や大きさだけでなく、耳の形態や術後の傷跡にも配慮して切開する位置・範囲を検討します。

耳たぶ(耳垂)にできた粉瘤の場合には、耳たぶの形をできるだけ崩さないよう、粉瘤の位置や大きさを確認しながら手術を行います。

摘出した粉瘤

摘出した粉瘤です。

粉瘤は内容物だけを排出しても、皮膚の内側に袋状の構造(嚢腫壁)が残っていると再発する可能性があります。

そのため、再発のリスクを抑えるには、内容物だけでなく嚢腫壁を含めて適切に摘出することが重要です。

耳は人目につきやすく、立体的な形状をしている部位です。当院では、粉瘤を取り除くことだけでなく、耳の形態や傷跡にも配慮しながら手術方法を検討します。

耳の粉瘤は何科を受診すればいい?

耳に粉瘤と思われるしこりがある場合は、皮膚科や形成外科を受診します。

「耳のできものだから耳鼻科に行くべき?」と迷う方もいますが、しこりができている場所によって受診先は異なります。

耳たぶや耳の後ろなど、皮膚・皮下にできたしこりであれば、皮膚科や形成外科が主な受診先です。一方、耳の穴の中など耳鼻科領域にできものがある場合には、耳鼻咽喉科への受診を検討します。

また、耳のしこりが必ずしも粉瘤とは限りません。ピアスホール周辺であれば、炎症や感染、瘢痕、ケロイドなどの可能性もあるため、まず診察を受けることが大切です。

粉瘤と思われる皮膚・皮下のしこりで、診断だけでなく摘出まで希望する場合には、粉瘤の日帰り手術に対応している形成外科などの医療機関を選ぶとスムーズです。

耳の粉瘤手術の費用

耳の粉瘤は、治療目的で摘出する場合、健康保険が適用されます。

実際の費用は、粉瘤の大きさや手術内容、保険の自己負担割合などによって異なります。

3割負担・1割負担の手術費用

耳の粉瘤を摘出する場合の手術費用の目安は以下のとおりです。

切除した粉瘤の直径の合計3割負担1割負担
2cm未満5,000~6,000円程度2,000円程度
2cm~4cm11,000~12,000円程度4,000円程度
4cm以上13,000~14,000円程度4,500円程度

※粉瘤の大きさや手術内容によって費用は異なります。
※耳の粉瘤の保険上の区分・算定については、実際の診察・手術内容に基づいて決定します。

病理検査

摘出した組織は、粉瘤であることやほかの病変がないことを確認するため、病理検査を行う場合があります。

病理検査を行った場合には、手術費とは別に3,000円程度検査費用がかかります。

薬代・診察料など

手術費のほかに、初診料・再診料、処方薬などの費用が別途必要になる場合があります。

そのため、実際の窓口負担額は、粉瘤の大きさや手術内容、当日に行った検査・処方などによって異なります。

詳しい費用については、当院の料金ページをご確認ください。

→ 粉瘤手術の費用について詳しくはこちら

耳たぶ・耳の後ろのしこりはすべて粉瘤とは限りません

耳たぶや耳の後ろにコリコリしたしこりがあると、「粉瘤では?」と考える方もいるでしょう。

しかし、「耳たぶにコリコリしたものがある=粉瘤」とは限りません。

耳周辺には、粉瘤以外にもさまざまなできものが生じるため、実際に診察して判断することが重要です。

ニキビ・毛嚢炎・おでき

毛穴に炎症が起こることで、赤みや腫れ、痛みを伴うできものが生じることがあります。

炎症を起こした粉瘤と似て見えることもあるため、見た目だけでは区別が難しい場合があります。

ピアスによる炎症

ピアスホール周辺では、刺激や細菌感染などによって赤み・腫れ・痛み・膿などが生じることがあります。

しこりのように触れる場合もありますが、必ずしも粉瘤とは限りません。

ケロイド・肥厚性瘢痕

ピアスホールを開けたあとの傷をきっかけに、傷跡が赤く盛り上がり、しこりのようになることがあります。

特にケロイドは徐々に元の傷の範囲を越えて大きくなることがあり、粉瘤とは治療方法も異なります。

脂肪腫

脂肪腫は、皮下に脂肪細胞が増殖してできる良性の腫瘍です。

一般的にはやわらかいしこりとして触れることが多く、粉瘤とは異なるできものです。

その他のできもの

耳周辺には、粉瘤以外にもさまざまな皮膚・皮下腫瘍やしこりが生じることがあります。

そのため、大きさ・硬さ・痛み・黒い点の有無など、セルフチェックだけで粉瘤と確定することはできません。

耳たぶや耳の後ろにしこりがある場合は、自分で潰したり粉瘤と決めつけたりせず、医療機関で診察を受けましょう。

耳の粉瘤についてよくある質問

耳たぶにコリコリしたしこりがあります。痛くないのですが粉瘤でしょうか?

粉瘤の可能性はありますが、痛みの有無や触った感触だけで粉瘤と判断することはできません。

耳たぶには粉瘤以外にも、ピアスによる炎症や瘢痕、ケロイドなど、さまざまなしこりができることがあります。

しこりの位置や大きさ、皮膚の状態、ピアス歴なども確認したうえで診断します。

耳の後ろにしこりがあります。粉瘤とリンパ節の腫れはどう見分けますか?

粉瘤は皮膚の内側に袋状の構造ができる皮膚腫瘍ですが、耳の後ろにはリンパ節もあるため、リンパ節の腫れをしこりとして感じる場合があります。

位置や硬さ、動き方などが判断材料になることはありますが、触った感触だけで粉瘤とリンパ節の腫れを正確に見分けることは困難です。

しこりが長く続いている、大きくなっている、痛みや腫れがあるなどの場合は、医療機関を受診しましょう。

耳たぶに粉瘤があるのですが、ピアスが原因ですか?

ピアスがあるからといって、それが粉瘤の直接的な原因とは断定できません。

一方で、ピアスホールを開けた際の外傷などをきっかけに、粉瘤のような嚢腫が形成される可能性はあります。

また、ピアス周辺のしこりは粉瘤ではなく、炎症・感染・瘢痕・ケロイドなどによって生じている場合もあります。

ピアスの穴の近くに硬いしこりができました。粉瘤でしょうか?ケロイドでしょうか?

ピアスホールの近くにできる硬いしこりには、粉瘤だけでなくケロイドや肥厚性瘢痕、炎症などさまざまな可能性があります。

特にケロイドは、ピアスホールなどの傷をきっかけに赤く盛り上がり、徐々に大きくなることがあります。

粉瘤とケロイドでは治療方法も異なるため、自己判断せず診察を受けることが重要です。

耳の粉瘤から臭いものが出てきました。自分で絞っても大丈夫ですか?

自分で強く絞ったり潰したりすることはおすすめできません。

粉瘤から臭いのある内容物が出ることがありますが、内容物を出しただけでは、皮膚の内側に袋状の構造が残っている可能性があります。その場合、再び内容物が溜まることがあります。

また、無理に潰すことで炎症や感染が悪化する可能性もあるため、医療機関を受診しましょう。

耳の粉瘤が赤く腫れて痛いです。当日手術できますか?

炎症の程度や粉瘤の大きさ、できている位置などによって異なります。

診察当日に摘出できる場合もありますが、炎症が非常に強い場合には、まず炎症に対する治療を行い、状態が落ち着いてから粉瘤を摘出することもあります。

赤く腫れているから受診できないということではありません。まず診察を受け、現在の状態に適した治療方法を検討します。

→ 粉瘤の当日手術について詳しくはこちら

耳たぶの粉瘤を取ると耳の形が変わりませんか?

粉瘤の大きさや位置、炎症・癒着の程度、周囲の皮膚や組織の状態などによって異なります。

耳たぶは立体的な形をしているため、手術では粉瘤を適切に摘出することに加えて、耳の形態にも配慮しながら切開する位置や範囲を検討します。

特に大きな粉瘤の場合は、術後の形態への影響も含めて手術前に確認することが重要です。

耳の粉瘤を手術すると傷跡は目立ちますか?

粉瘤を手術する以上、傷跡が完全になくなるわけではありません。

ただし、傷跡の大きさや目立ち方は、粉瘤の大きさや位置、炎症の有無、手術方法などによって異なります。

耳は人目につきやすい部位でもあるため、傷跡にも配慮して術式や切開位置を検討します。

ただし、傷を小さくすることだけを優先するのではなく、粉瘤を適切に摘出できる方法を選択することが重要です。

耳の粉瘤はくり抜き法で取れますか?

耳の粉瘤でも、状態によってはくり抜き法で摘出できる場合があります。

くり抜き法は切開範囲を比較的小さくできる方法ですが、すべての耳の粉瘤に適しているわけではありません。

粉瘤が大きい場合や炎症・癒着がある場合、できている位置などによっては切開法を選択することがあります。

耳の粉瘤を一度取ったのですが、同じ場所にまたしこりができました。再発でしょうか?

粉瘤が再発している可能性はありますが、同じ場所にしこりができたというだけでは断定できません。

粉瘤は、摘出時に袋状の構造の一部が残った場合などに再発することがあります。一方で、以前とは別の粉瘤や、粉瘤以外のできものが生じている可能性もあります。

以前手術した場所に再びしこりができた場合は、自分で潰したりせず、過去に粉瘤を摘出したことを伝えたうえで診察を受けましょう。

まとめ

耳たぶや耳の後ろなど、耳にも粉瘤ができることがあります。

粉瘤は皮膚の内側に袋状の構造が形成され、その中に角質などが溜まることで徐々に大きくなります。

根本的に治療する場合には、くり抜き法や切開法によって袋状の構造を含めて摘出します。

ただし、耳のしこりには、

ニキビ・毛嚢炎
ピアスによる炎症
ケロイド・瘢痕
脂肪腫
その他のできもの

などもあるため、耳のしこりがすべて粉瘤とは限りません。

また、耳は人目につきやすく立体的な形状をしているため、粉瘤の大きさや位置だけでなく、耳の形や傷跡にも配慮して治療方法を検討することが重要です。

あいちビューティークリニックでは、耳を含む粉瘤の診察・日帰り手術を行っています。

「耳たぶにしこりがある」
「耳の後ろのできものが粉瘤か知りたい」
「できるだけ耳の形や傷跡に配慮して治療したい」

という方も、まずはご相談ください。